(二年前、削除された記事を再掲します)

お金のしくみは、11分36から。

 

一部文字おこしさせて頂きます。

(略)
安藤裕さん 
まず、なぜ国が借金を膨らませてはいけないのか、

国が借金をする、国債の残高をふやすということは経済に対してどういう効果があるのか

ということについて議論していきたいと思います。

 まず、銀行がお金を貸すという行為を考えてみたいと思います。

 これは、全国銀行協会企画部金融調査室が出しております「図説 わが国の銀行」という本の中に説明があります。このように書いてあります。

「銀行が貸出を行う際は、貸出先企業Xに現金を交付するのではなく、Xの預金口座に貸出金相当額を入金記帳する。

つまり、銀行の貸出の段階で預金は創造される仕組みである。」

つまり、

誰かが銀行から借金をすると、その分だけ日本国の中に存在する預金の総額がふえる

ということを言っているわけですね。
 日本銀行に伺いますけれども、この説明で合っているでしょうか。

藤田参考人 
 委員御指摘のとおり、信用創造につきましては、まず民間銀行が貸出しを行い、それに対応して預金が増加する、こういう対応関係になってございます。
 ただし、もちろん、銀行が貸出しを行うに当たりましては、まず、家計や企業の資金需要があるということが前提でございまして、借り手の返済能力なども影響するというふうに考えてございます。

安藤裕さん  
 まさに借り手の返済能力に依存するわけですけれども、返済能力があれば銀行は融資をする、そのときにお金は生まれてくるということですね。

 最近、結構ベストセラーになりました「父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。」という、ヤニス・バルファキスという方の書いた本がありますけれども、この方はギリシャの財務大臣を務められた方で、EUの中でも異色で、ギリシャでもっと積極財政をするべきだということを主張して、ギリシャの財務大臣をした方ですけれども、この本の中で、こういうふうに書いてあるんですね。今の信用創造の話ですが、「ここで質問。銀行はミリアムに貸す五十万ポンドをどこで見つけてくるのだろう? 早合点しないでほしい。「預金者が預けたおカネ」は不正解。 正解は「どこからともなく。魔法のようにパッと出す」。 では、どうやって? 簡単だ。銀行の人が五という数字の後にゼロを五つつけて、ミリアムの口座残高を電子的に増やすだけ。」これは今の説明のとおりですね。

 つまり、預金というものは、誰かがお金を借りたときに生まれてくる。これは銀行の信用創造機能と呼ばれますけれども、万年筆マネーとかキーボードマネーというふうに最近は呼ばれているようです。つまり、銀行は広く国民から集めたお金を元手に融資をしているのではなくて、何もないところからお金を貸しているということですね。

 それでは次に、借金を返済するという行為について考えてみたいと思います。
 お金を借りたときに預金が発生するのであれば、借金を返済したときにはその預金は消滅するということになるんだろうと思いますけれども、日本銀行に伺いますが、誰かが銀行に対する融資の返済をしたときに、日本国に存在する預金通貨はその分消滅するという理解でよろしいんでしょうか。

藤田参考人 

委員御指摘のとおり、企業が借入金を返済する際には、銀行貸出しが減少するとともに、預金も減少する形になるというふうに理解してございます。

安藤裕さん 

そのとおりなんですね。融資を受けたときに預金は新しく生まれて、銀行に融資を返済したときにお金は消えていく。

我々が生きているこの資本主義の社会で使っているお金とは、借金することによって生まれて、借金を返済することで消えていく、そういう運動をしているものであるということです。

 それでは、これを国の借金に置きかえて考えてみると、国が借金をする、国債を発行して借金をするということはどういうことか。
 また日銀に伺いますけれども、国が新規国債を発行して、これを政府支出という形で、公共事業でも給料の支払いでも何でもいいんですけれども、民間に支出をした場合、民間の貯蓄はその分ふえると考えてよろしいでしょうか。

藤田参考人 

委員御指摘のとおり、発行された国債を銀行が保有しまして、財政支出が行われた場合には、同額の預金通貨、マネーといいますか、これが発生することになるということでございます。
 ただし、これは事後的に成り立つ関係ということでございまして、財政の中長期的な持続可能性に対する信認の状況や将来の経済、インフレに対する見方などを背景に、国債に対する民間の需要自体が変動する可能性というところには留意する必要があるというふうに考えてございます。

安藤裕さん  

そのとおりですね。政府が国債を発行して民間に支出をすると、その分、民間の貯蓄はふえるということを、御返事をいただきました。
 また引き続き日本銀行に伺いますけれども、それでは、政府が財政の黒字化を達成して国債残高を減らす、要するに借金の返済をするということは、日本国内に流通している預金通貨の総額を減らす、先ほどお話しした、銀行に対する融資の返済をするのと同じように、国が持っている借金を国が返済したら、日本国に存在する預金の総額は同じように同額減るという理解でよろしいのかどうか、その御説明をお願いします。

藤田参考人 

国債が償還を迎えて発行残高が減少する場合ということでございますが、そのこと自体は預金通貨、マネーの減少につながるということでございますけれども、同時に、国債残高が減少するような経済情勢のもとでは、民間の経済活動がより活発化し、貸出しが増加している可能性も高いというふうに考えてございます。
 その場合、全体としてマネー、預金通貨が増加するか減少するかというところは、さまざまな状況があり得るかというふうに思ってございます。

安藤裕さん  

私の言っていただきたい答えをそのまま言っていただきまして、ありがとうございます。
 そのとおり、国債残高を減らすということは、日本の国に存在する預金の額をそれだけ減らすということになります。

つまり、単純に国債残高を減らすということを目標にするということは、

預金の残高が減るということですから、日本国民は間違いなく貧しくなる

ということであろうと思います。

 ところで、でも、今も御説明の中でありましたけれども、日本の財政は厳しい、いつ財政破綻するかわからないというようなことが巷間ずっと言われております。

 では、本当に日本の財政は破綻する危機的状況にあるのか
ということですが、今、皆様のお手元に資料をお配りしました。九ページと十ページに財務省のホームページから持ってきた意見書がございます。

 外国格付会社宛て意見書要旨、九ページの方には

「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。」

(財務省HP)

と書いてありますし、十ページには

「ハイパー・インフレの懸念はゼロに等しい。」

(財務省HP)

と、これは財務省の意見書で書いてあります。
 このことについて、財務省の方から御説明をお願いいたします。

宇波政府参考人 

今委員御指摘の再質問書でございますけれども、これは、日本国債の格下げの理由について、より客観的な説明を格付会社に対して求めたものでございます。日本の財政健全化の必要性を否定したものではございません。

 その上で、ハイパーインフレについてでございますけれども、日本については、これまで債務残高が累増する中で、ハイパーインフレや長期金利の急騰が生じていない状況にございます。これは、預金等の潤沢な国内の家計金融資産の存在などを背景に、低い金利水準で安定的に国債が消化されてきているということとともに、財政に対する信認が確保されてきたということが背景にあると考えてございます。
 したがいまして、現在の日本においてハイパーインフレが直ちに発生するということは考えにくいわけでございますけれども、少子高齢化など経済社会の構造が変化する中で、こうした状況がずっと続くとは限らないわけでございますので、こうした中で、先ほど申し上げました財政に対する信認が損なわれることのないよう、債務残高対GDP比の安定的引下げを目指し、財政健全化を図っていくことが重要であるというふうに考えてございます。

安藤裕さん 日本国債の返済不能はあり得ない、そして

ハイパーインフレの懸念もゼロに等しい

これは本当に大事な指摘だと思いますし、財務省のホームページにこのことが明記をされているということは、我々は深く胸に刻まなきゃいけないというふうに思っております。そう考えますと、財政拡大の余地は十分にあるということになるんだろうと思います。

 そこで、西村大臣にお伺いをしたいと思いますが、今の日本はデフレであるのか、それともそうではないのか、経済に対する認識をまずお伺いしたいと思います。

西村国務大臣 

 政権交代後、御案内のとおり、アベノミクス三本の矢で、現時点でデフレではないという状況をつくり出すことができたと思っております。御案内のとおり、物価も、生鮮食品及びエネルギーを除く、いわゆるコアコアで見たところ、二〇一七年七月以降、二十七カ月連続で前年同月比プラスになっておりますし、GDPギャップも三四半期連続のプラスとなっているところでございます。
 ただ、この状況判断に当たって、デフレ脱却ということを判断するには、足元の状況に加えて、さらに、再びデフレに戻るおそれがないということを確認する必要があるということでありますので、現時点でまだ完全にデフレから脱却したと言える状況にはないと考えております。
 いずれにしましても、賃上げも大事でありますし、けさも経団連に賃上げをお願いしてきたところでありますけれども、賃上げを継続するような取組など含めて、デフレ脱却に向けて引き続きしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

安藤裕さん  

まだデフレ脱却というものは完全に果たされていないというお答えをいただきました。
 そこで、皆様のお手元の資料の十の一というものを見てもらいたいと思います。ネットの資金需要というグラフです。

きょう、今まで議論してきたように、誰かがお金を借りることによって預金が創造されるという話をしてまいりました。ネットの資金需要というこのグラフは、一般政府の収支と、それから企業の貯蓄率と、それとその合計をあらわしたグラフですけれども、これはソシエテ・ジェネラル証券の会田さんという方がつくっているグラフですが、これは、

景気がいい状態、そしてまたデフレの状態の資金の流れというものを非常によくあらわしている資料だと思いますので、提示をさせていただきました。

 ゼロより上のときが資金収支が黒字、ゼロより下のところが資金収支が赤字ということです。資金収支が赤字ということは、それだけ借入れをふやしているということになりますから、それだけ日本国にある預金の総額がふえていくという理解でいいんだろうというふうに思います。

 景気がいいころは、まず企業の方、グレーのラインですけれども、グレーの線がずっとマイナスの方にいます。つまり、企業は、借入れをどんどんふやしていってマネーをつくって、投資をしている状態ですね。

 ところが、バブルが崩壊して、それは、企業は当然返済をしていきますから、資金を。貯蓄をしていく、資金の返済をしていく。さっきの説明でいくと、預金通貨を消滅させていくという行動をとっているということになります。

 一方で、政府は、赤字が拡大するということは、新規国債を発行するということになるでしょうから、そのときにはマネーを供給している、預金通貨を市場に供給している状態だというふうに思います。

 バブルのころは、民間企業は物すごく資金をつくっていますから、政府は黒字になっているわけですね。でも、このときはバブルになってしまった。これは何でかというと、資金需要が旺盛過ぎて、行き過ぎたマネーの供給がされてしまったんだろうというふうに思います。

 色がついている部分を見てみると、景気がいい時代は、政府と企業の貯蓄率の合計はずっとマイナスなんですね。ところが、デフレ期に入ってからは、ゼロ近辺をうろうろする、むしろプラスになっている時期の方が多い。プラスになっているということは、資金をつくらない、あるいは消滅させているという状況が続いているということですから、とても、景気がいい状態になるとは思えないわけです。

 したがって、このグレーの線がゼロよりも適度にマイナスのところに来るように、我々は、この政権、財政政策の運用をしていくべきではないか。つまり、財政規律のあり方というのは、PBの黒字化目標ではなくて、市場にちゃんと資金が供給されるように政府の負債の額というものを調整していくべきではないか、そのように財政規律のあり方を変えるべきではないかというふうに思いますが、そのあたりについて、内閣府の見解をお願いしたいと思います。
(略 動画参照)